ヨーリオンについての解説やらなんやら
はじめましての方ははじめまして、テゼと申します。東京でカードゲームやってるオタクです。
最近、後輩が記事を書いていたのを見て、そういえば俺もブログ開設してたわ…ということを思い出して筆をとった次第です。今回はタイトル通り、《ヨーリオン》について語っていこうかなと。
目次
1. ヨーリオンってなんだ?
マジック:ザ・ギャザリングを嗜んでいないそこのあなた。残念ながら、この記事はMtGの記事だ。読んでいただけるのであれば幸いだが、長ったらしいうえにMtG用語が容赦なくバンバン出てくるので、苦痛であろうと思われる。飽きたらブラウザバックなりしていただきたい。
さて、皆様は相棒についてご存知だろうか? いや、某小説および実写ドラマシリーズではない。MtGにおける相棒である。
簡単に解説すると、要するに『デッキの中身が条件を満たしていれば、一回だけゲームの外部(ほとんどの場合サイドボードである)から唱えられる』クリーチャーのことだ。イコリア:巨獣の棲処にて登場した能力である。イコリアの発売以来、MtGの環境は様変わりしてしまった。つまり、相棒入りか相棒抜きか、のふたつに分かれてしまったのだ。考えてみれば当然で、条件を満たしさえすれば盤外からクリーチャーをプレイできる(盤外に手札が1枚ある)のだから。使わない理由を探すほうが難しいだろう。
本題に入ろう。ヨーリオンについてだ。
ヨーリオンとは、《空を放浪するもの、ヨーリオン》のことだ。
白と青の混成マナ・シンボルを持つ伝説のクリーチャーで、鳥であり海蛇であるらしい。あと、飛んでる。cipで土地でない自分のパーマネントをブリンクできる。
さて、このヨーリオンというクリーチャーの相棒条件は『デッキの最小サイズよりも少なくとも20枚のカードを余分に投入すること』。普通のフォーマットであればデッキの最小サイズは60枚だから、最低でも80枚デッキであれば、サイドボードからコイツを唱えてもよいということだ。
……とサラッと書いたが、カードゲームを嗜まれる諸兄は、上記の条件が尋常でないことだとお思いのことだろう。実際、尋常ではない。
しかし、ハッキリ言っておこう。ヨーリオンは強い。
めちゃくちゃに強い。
2. ヨーリオンコントロール
上でめちゃくちゃに強いなどと言い切ってしまったが、当然ながらヨーリオンには大きな問題がある。デッキが確定で80枚になることだ。これは無視できない問題だ。
ところで、ヨーリオンのカラーは白と青である。いや、混成2色なので白単あるいは青単でも使用できるが、【青単ヨーリオン】だとかいうデッキは見かけたことがない。少なくとも私は。
白青といえば、コントロールデッキだ。ガチガチのコントロールだ。コントロールが相棒を採用するということは、ハンデスされない手札を1枚確保するということだ。そしてそれがヨーリオンであれば、デッキ枚数が80枚になることはたいしたダメージにはならない。なぜか?
コントロールは、大量のドローソースやカウンター、そして多めの土地とほんのちょっとのフィニッシャーで構成されている。相手とのカードのやりとりのなかでアドバンテージを得て、耐えて、引いてきたフィニッシャーで勝つデッキだ。ヨーリオンはフィニッシャーとしての資格をじゅうぶんに満たしている。なんならアドバンテージも一気に稼いでくれる。複数ブリンク持ち5/4/5飛行が5回も殴れば人は死ぬのだ。
絶対に唱えられるカードがアドを稼いでフィニッシャーになるわけである。一般的なデッキが20枚もの余計なカードを採用するのは無謀だが、コントロールはそれを容認できることがおわかりだろう。ヨーリオンがもたらすメリットはデメリットを打ち消してあまりある。
さらに、意外と20枚の枠は多くない。
まず土地を投入する。60枚デッキであれば25枚前後のところを、34枚くらいまで増やす。すると、もう約10枚使ってしまっている。そして、なるべく引きたいカードを増量する。こうなると5枚くらい枠を消費する。残りをドローソースに充てると、もう20枚だ。わーお。
と、上記の2つの要因から80枚デッキは案外どうにかなることがおわかりだと思われる。だが、ここで新たな問題が浮上する。サイドボーディングである。
ヨーリオンにおけるサイドボーディングはとても難しい。デッキが80枚もあるせいで、サイドから投入したカードを引き込めないからだ。となると、どうするか。
メインにサイドのカードを入れちゃうのだ。
上で「20枚の内訳」を書いておいて申し訳ないが、こうする他ない。
もちろん、限定的すぎるカードはサイドに入れるが、メインでも使えなくもないカードは最初からメインに入れておく必要がある。サイドの枚数は15枚から増えないので、かなり困るところだ。
以上が、ヨーリオンによって変容したコントロールの新たな形である。ヨーリオンによってもたらされるメリットはかなり大きく、80枚デッキになるデメリット以上のものだが、同時に新たなデメリットも生まれてしまっている。そこが面白いのだが。
3. 創案のヨーリオン
もうひとつ、ヨーリオンデッキを紹介することにする。
ファイアーズというデッキタイプがある。《創案の火》を用いたデッキだ。
創案の火は、自分ターン中にのみ呪文を唱えられなくなること、呪文を2つしか唱えられなくなることの2つのデメリットの代わりに、呪文のマナ・コストを踏み倒すことができる強力なエンチャントである。いくら色拘束が強くても、土地さえあればタダで唱えて好き放題できる夢のエンチャント。登場以来、様々なデッキがつくられてきた魅力的なカードだ。コイツがヨーリオンと出会って、どんなデッキが生まれたのか。
ヨーリオンは、プレインズウォーカーと相性がいい。プレインズウォーカーが強力なマイナス能力を使ったあとにヨーリオンを着地させれば、ブリンクすることで忠誠度をリセットできる。
創案の火も、プレインズウォーカーと相性がいい。相手ターンに動けなくなる創案の火と、自分ターンでのみ能力を起動できるプレインズウォーカーは噛み合っている。
では、ヨーリオンと創案の火は? 噛み合っている。創案の火を終了ステップまでどかして、デメリットを消すことができるからだ。もちろん、マナ・コストを踏み倒しているので、どかした後には土地は全部起きているはずだ。さらなる好き放題をあなたに。
ただ、ファイアーズ共通の問題として、ゲームが長引くと苦しいという点がある。当然ながら、プレインズウォーカー踏み倒しで完全に制圧していればいくら長引こうがイージーウィンだが。
ファイアーズの最高潮は5ターン目か6ターン目だ。本来ならありえない量のパワーカードを1ターンのうちに叩きつけて、相手を置き去りにして勝つ。だが、打ち消しや除去でプレインズウォーカーに対処されてしまうと(某ハゲがいれば打ち消しの心配はないが)相手には余裕が生まれ、こちらの展開についてこれるようになってしまう。そのころには、創案の火は邪魔な置物になっていることだろう。
そこでヨーリオンの登場だ。ヨーリオンは創案の火をどかして、ワンアクション増やすことができる。本体のサイズもじゅうぶんで申し分ない。さらに、ヨーリオンと同期のイコリアのとあるカードも、ファイアーズを強化した。《サメ台風》だ!
公開時には様々な方面で話題になったこのカード。イラストというかモチーフはネタにしか見えないが、下馬評通りの強さだった。
エンチャントとしての性能も高いが、本質はサイクリングのほうだ。サイクリングすることは呪文を唱えることではないので、創案の火があろうとも使えるのだ。これによって、ファイアーズ特有の大振りな動きでも余裕がもてる。というか、サイクリングのトークン生成って瞬速・打ち消されない・キャントリップなのでファイアーズ関係なくぶっ壊れている。《正義の命令》が大暴れしたのもわかるというもの。
ただ、ファイアーズはコントロールと違って創案の火に大きく依存している。ないと絶対に勝てないわけではないが、とても苦しいゲームになるのは間違いない。80枚デッキでは創案の火を4ターン目までに引いてくるのはかなり厳しいので、ケアするためにデッキの中身が軽くなると、長期戦にさらに弱くなってしまう。構築する際は悩まされるだろう。
一時期は衰退していたファイアーズも、この機に復権して活躍している。ヨーリオンは偉大だ。
4. まとめ
・ヨーリオンは単体で強い。
・意外と80枚でもなんとかなる。
・引きムラは受け入れろ。
・サメ最強。
・ルールスはカス。
これを読んでヨーリオンを使ってみようと思っていただけたなら幸いだ。95枚入るデッキケースが必要だが。